けた親類のものがそのうち二三人寄った。いずれまた来るからと云って帰ったのもあった。千代子は来る人ごとに宵子の突然な最後をくり返しくり返し語った。十二時過から御仙は通夜《つや》をする人のために、わざと置火燵《おきごたつ》を拵《こし》らえて室《へや》に入れたが、誰もあたるものはなかった。主人夫婦は無理に勧められて寝室へ退《しり》ぞいた。その後《あと》で千代子は幾度か短かくなった線香の煙を新らしく継《つ》いだ。雨はまだ降りやまなかった。夕方|芭蕉《ばしょう》に落ちた響はもう聞こえない代りに、亜鉛葺《トタンぶき》の廂《ひさし》にあたる音が、非常に淋しくて悲しい点滴《てんてき》を彼女の耳に絶えず送った。彼女はこの雨の中で、時々宵子の顔に当てた晒《さらし》を取っては啜泣《すすりなき》をしているうちに夜が明けた。
 その日は女がみんなして宵子の経帷子《きょうかたびら》を縫った。百代子《ももよこ》が新たに内幸町から来たのと、ほかに懇意の家《うち》の細君が二人ほど見えたので、小さい袖《そで》や裾《すそ》が、方々の手に渡った。千代子は半紙と筆と硯《すずり》とを持って廻って、南無阿弥陀仏《なむあみだぶつ》と
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