問題の必要上どうしても田口に頼らなければならない事情があるので、面白くないとは知りながら、つい承諾したのだという風な答をした。
「衣食に困るなら仕方がないが、もう止した方がいいですよ。余計な事じゃありませんか、寒いのに雨に降られて人の後《あと》を跟《つ》けるなんて」
「私も少し懲《こ》りました。これからはもうやらないつもりです」
この述懐を聞いた松本は何とも云わず、ただ苦笑《にがわら》いをしていた。それが敬太郎には軽蔑《けいべつ》の意味にも憐愍《れんみん》の意味にも取れるので、彼はいずれにしてもはなはだ肩身の狭い思をした。
「あなたは僕に対してすまん事をしたような風をしているが、実際そうなのですか」
根本義に溯《さかの》ぼったらそれほどに感じていない敬太郎もこう聞かれると、行がかり上そうだと思わざるを得なかった。またそう答えざるを得なかった。
「じゃ田口へ行ってね。この間僕の伴《つ》れていた若い女は高等淫売《こうとういんばい》だって、僕自身がそう保証したと云ってくれたまえ」
「本当にそういう種類の女なんですか」
敬太郎はちょっと驚ろかされた顔をしてこう聞いた。
「まあ何でも好いか
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