ょらい》の御神籤《おみくじ》をいただいて第五十五の吉というのを郵便で送ってくれたら、その中に雲《くも》散《さん》じて月重ねて明らかなり、という句と、花|発《ひら》いて再び重栄《ちょうえい》という句があったので、物は試しだからまあ受けて見ようと云って、受けたら綺麗《きれい》に及第した時、彼は興に乗って、方々の神社で手当りしだい御神籤をいただき廻った事さえある。しかもそれは別にこれという目的なしにいただいたのだから彼は平生でも、優に売卜者《うらないしゃ》の顧客《とくい》になる資格を充分具えていたに違ない。その代り今度のような場合にも、どこか慰さみがてらに、まあやって見ようという浮気がだいぶ交っていた。

        十六

 敬太郎《けいたろう》はどこの占《うら》ない者《しゃ》に行ったものかと考えて見たが、あいにくどこという当《あて》もなかった。白山《はくさん》の裏とか、芝公園の中とか、銀座何丁目とか今までに名前を聞いたのは二三軒あるが、むやみに流行《はや》るのは山師《やまし》らしくって行く気にならず、と云って、自分で嘘《うそ》と知りつつ出鱈目《でたらめ》を強《し》いてもっともらしく述
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