みと、が交《まじ》っていた。いずれにしても、新らしく生れた子が可愛《かあい》くなるばかりであった。
 彼女はぐたぐたして手応《てごた》えのない赤ん坊を手際よく抱き上げて、その丸い頬《ほお》へ自分の唇を持って行った。すると自分から出たものはどうしても自分の物だという気が理窟なしに起った。
 彼女は自分の傍《わき》にその子を置いて、また裁《たち》もの板の前に坐《すわ》った。そうして時々針の手をやめては、暖かそうに寐《ね》ているその顔を、心配そうに上から覗《のぞ》き込んだ。
「そりゃ誰の着物だい」
「やっぱりこの子のです」
「そんなにいくつも要《い》るのかい」
「ええ」
 細君は黙って手を運ばしていた。
 健三は漸《やっ》と気が付いたように、細君の膝《ひざ》の上に置かれた大きな模様のある切地《きれじ》を眺めた。
「それは姉から祝ってくれたんだろう」
「そうです」
「下らない話だな。金もないのに止せば好《い》いのに」
 健三から貰《もら》った小遣の中《うち》を割《さ》いて、こういう贈り物をしなければ気の済まない姉の心持が、彼には理解出来なかった。
「つまり己《おれ》の金で己が買ったと同じ事にな
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