ても聞かない。父はついに憤死する。これが結末であります。この一段があるので、昔から見馴《みな》れた恋愛談の陳腐《ちんぷ》なものとは趣を異にするようになりますが、結婚問題が破裂するところがあればこそはあなるほどと云わせる事ができるのです。はあなるほどというのは取も直さず新らしかったと云う意味であります。新らしい因果《いんが》を見てもっともだ今の世の中にはこんな因果があるだろうと思うからです。今の人々の腹の中には行為にこそ、ここまで出さなくっても、約束的な姑息《こそく》手段に堪《た》えないで、マグダと同じような似たものが、あるだろう、あり得るはずだと認めるだけの眼をもって読んで行くからであります。この点においてこの劇は固《もと》より真を発揮したものであります。しかしこの劇はそれだけよりほかに能事のないものであろうかと考えてみますると、大にあるでしょう。第一はこの相手の男の我儘《わがまま》なところ、過去の非を塗《ぬ》り潰《つぶ》して好い子になろうと云う精神が出ているから、読者はその点において憎悪《ぞうお》とか軽蔑《けいべつ》とかの念を起さなければならないはずでしょう。しかし世の中は虚偽でも上
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