ません。醜くいから戸籍に載せないとなった日には、区役所の調べはまるで当にならない事になります。偽りになります。気に喰わない生徒だからと云って点数表から省《はぶ》いたら、学校ほど信用のできない所はなくなるでしょう。して見ると、真を写す文字ほど公平なものはない。一視同仁の態度で、忌憚《きたん》なく容赦なく押して行くべきはずのものであります。ブルンチェルがバルザックを論じたうちにこんな句があります。自然派作家には、蛆《うじ》よりも象の方を大切だと考える権利がない。もちろん生物学上の発達から云ったら、象の方が重要な位地を占めているかも知れないが、何もこれは自然派作家が自分の意志で随意に重要にした訳ではない。――面白い句であります。(ブルンチェルのバルザック論はもちろん一人の著者についての議論でありますから系統的に理論は述べてありませんが、こういう点に関してはなはだ有益の参考書でありますから御一読を願います。この取捨のない意味なども、実はバルザック論のところどころにあるのを私が、纏《まと》めて布衍《ふえん》して行くくらいなものであります。この人は同書にまた、我《が》、浪漫派、抒情主義などと云う字
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