рムたり縮んだり、曲がったり、くねったりする。しかしどう変化してもやはり明らかに桜の姿を保《たも》っているところが非常に面白い。
「こいつは愉快だ。奇麗《きれい》で、変化があって。こう云う風に動かなくっちゃ面白くない」
「人間もそう云う風にさえ動いていれば、いくら動いても大丈夫ですね」
「非人情でなくっちゃ、こうは動けませんよ」
「ホホホホ大変非人情が御好きだこと」
「あなた、だって嫌《きらい》な方じゃありますまい。昨日《きのう》の振袖《ふりそで》なんか……」と言いかけると、
「何か御褒美《ごほうび》をちょうだい」と女は急に甘《あま》えるように云った。
「なぜです」
「見たいとおっしゃったから、わざわざ、見せて上げたんじゃありませんか」
「わたしがですか」
「山越《やまごえ》をなさった画《え》の先生が、茶店の婆さんにわざわざ御頼みになったそうで御座います」
 余は何と答えてよいやらちょっと挨拶《あいさつ》が出なかった。女はすかさず、
「そんな忘れっぽい人に、いくら実《じつ》をつくしても駄目ですわねえ」と嘲《あざ》けるごとく、恨《うら》むがごとく、また真向《まっこう》から切りつけるがごと
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