゚装《いしょう》を脱ぎ捨てたる様《さま》と云えばすでに人界《にんがい》に堕在《だざい》する。始めより着るべき服も、振るべき袖も、あるものと知らざる神代《かみよ》の姿を雲のなかに呼び起したるがごとく自然である。
室を埋《うず》むる湯煙は、埋めつくしたる後《あと》から、絶えず湧《わ》き上がる。春の夜《よ》の灯《ひ》を半透明に崩《くず》し拡げて、部屋一面の虹霓《にじ》の世界が濃《こまや》かに揺れるなかに、朦朧《もうろう》と、黒きかとも思わるるほどの髪を暈《ぼか》して、真白な姿が雲の底から次第に浮き上がって来る。その輪廓《りんかく》を見よ。
頸筋《くびすじ》を軽《かろ》く内輪に、双方から責めて、苦もなく肩の方へなだれ落ちた線が、豊かに、丸く折れて、流るる末は五本の指と分《わか》れるのであろう。ふっくらと浮く二つの乳の下には、しばし引く波が、また滑《なめ》らかに盛り返して下腹の張りを安らかに見せる。張る勢《いきおい》を後《うし》ろへ抜いて、勢の尽くるあたりから、分れた肉が平衡を保つために少しく前に傾《かたむ》く。逆《ぎゃく》に受くる膝頭《ひざがしら》のこのたびは、立て直して、長きうねりの踵《
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