ウっきの話の続きかと思って「なんだ」と答えた。
「君、こういう空を見てどんな感じを起こす」
与次郎に似合わぬことを言った。無限とか永久とかいう持ち合わせの答はいくらでもあるが、そんなことを言うと与次郎に笑われると思って三四郎は黙っていた。
「つまらんなあ我々は。あしたから、こんな運動をするのはもうやめにしようかしら。偉大なる暗闇を書いてもなんの役にも立ちそうにもない」
「なぜ急にそんな事を言いだしたのか」
「この空を見ると、そういう考えになる。――君、女にほれたことがあるか」
三四郎は即答ができなかった。
「女は恐ろしいものだよ」と与次郎が言った。
「恐ろしいものだ、ぼくも知っている」と三四郎も言った。すると与次郎が大きな声で笑いだした。静かな夜の中でたいへん高く聞こえる。
「知りもしないくせに。知りもしないくせに」
三四郎は憮然《ぶぜん》としていた。
「あすもよい天気だ。運動会はしあわせだ。きれいな女がたくさん来る。ぜひ見にくるがいい」
暗い中を二人は学生集会所の前まで来た。中には電燈が輝いている。
木造の廊下を回って、部屋《へや》へはいると、そうそう来た者は、もうかたまっ
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