三四郎
夏目漱石

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)頓狂《とんきょう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)福岡県|京都郡《みやこぐん》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「魚+(一/巾)」、第4水準2−93−37]《かます》

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔|ve'rite'《ヴェリテ》 vraie《ヴレイ》.〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
−−

       一

 うとうととして目がさめると女はいつのまにか、隣のじいさんと話を始めている。このじいさんはたしかに前の前の駅から乗ったいなか者である。発車まぎわに頓狂《とんきょう》な声を出して駆け込んで来て、いきなり肌《はだ》をぬいだと思ったら背中にお灸《きゅう》のあとがいっぱいあったので、三四郎《さんしろう》の記憶に残っている。じいさんが汗をふい
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