ノしろ適当な日本人を一人大学に入れるのが急務だと言い出す。みんなが賛成する。当然だから賛成するのはむろんだ。次にだれがよかろうという相談に移る。その時広田先生の名を持ち出す。その時三四郎は与次郎に口を添えて極力先生を賞賛しろという話である。そうしないと、与次郎が広田の食客《いそうろう》だということを知っている者が疑いを起こさないともかぎらない。自分は現に食客なんだから、どう思われてもかまわないが、万一|煩《わずら》いが広田先生に及ぶようではすまんことになる。もっともほかに同志が三、四人はいるから、大丈夫だが、一人でも味方は多いほうが便利だから、三四郎もなるべくしゃべるにしくはないとの意見である。さていよいよ衆議一決の暁は、総代を選んで学長の所へ行く、また総長の所へ行く。もっとも今夜中にそこまでは運ばないかもしれない。また運ぶ必要もない。そのへんは臨機応変である。……
 与次郎はすこぶる能弁である。惜しいことにその能弁がつるつるしているので重みがない。あるところへゆくと冗談をまじめに講義しているかと疑われる。けれども本来が性質《たち》のいい運動だから、三四郎もだいたいのうえにおいて賛成の
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