るのです。しかしこれはほんのついでに申し上《あげ》る事で、話の筋に関係した問題でもありませんから深くは立ち入りません。――何しろ私はその変な画を眺めるだけで、講演の内容をちっとも組み立てずに暮らしてしまったのです。
 そのうちいよいよ二十五日が来たので、否《いや》でも応でもここへ顔を出さなければすまない事になりました。それで今朝《けさ》少し考《かんがえ》を纏《まと》めてみましたが、準備がどうも不足のようです。とてもご満足の行くようなお話はできかねますから、そのつもりでご辛防《しんぼう》を願います。
 この会はいつごろから始まって今日まで続いているのか存じませんが、そのつどあなたがたがよその人を連れて来て、講演をさせるのは、一般の慣例として毫《ごう》も不都合でないと私も認めているのですが、また一方から見ると、それほどあなた方の希望するような面白い講演は、いくらどこからどんな人を引張《ひっぱ》って来ても容易に聞かれるものではなかろうとも思うのです。あなたがたにはただよその人が珍《めず》らしく見えるのではありますまいか。
 私が落語家《はなしか》から聞いた話の中にこんな諷刺的《ふうしてき》の
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