すからという条件をつけ加えておきました。その時念のためこの次はいつごろになりますかと岡田さんに伺《うかが》いましたら、此年《ことし》の十月だというお返事であったので、心のうちに春から十月までの日数を大体|繰《く》ってみて、それだけの時間があればそのうちにどうにかできるだろうと思ったものですから、よろしゅうございますとはっきりお受合《うけあい》申したのであります。ところが幸か不幸か病気に罹《かか》りまして、九月いっぱい床《とこ》についておりますうちにお約束《やくそく》の十月が参りました。十月にはもう臥《ふ》せってはおりませんでしたけれども、何しろひょろひょろするので講演はちょっとむずかしかったのです。しかしお約束を忘れてはならないのですから、腹の中では、今に何か云《い》って来られるだろう来られるだろうと思って、内々《ないない》は怖《こわ》がっていました。
 そのうちひょろひょろもついに癒《なお》ってしまったけれども、こちらからは十月末まで何のご沙汰《さた》もなく打ち過ぎました。私は無論病気の事をご通知はしておきませんでしたが、二三の新聞にちょっと出たという話ですから、あるいはその辺の事情
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