のさえ憚《はば》かられた。自分は仕方なしに催促を我慢した。三沢も空とぼけて澄ましていた。彼は自分と同じようにここへは始めて顔を出したので、少し硬くなっているらしかった。
舞は謹慎な見物の前に、既定のプログラム通り、単調で上品な手足の運動を飽《あ》きもせずに進行させて行った。けれども彼らの服装は、題の改《あらた》まるごとに、閑雅な上代の色彩を、代る代る自分達の眼に映しつつ過ぎた。あるものは冠に桜の花を挿《さ》していた。紗《しゃ》の大きな袖《そで》の下から燃えるような五色の紋を透《す》かせていた。黄金作《こがねづくり》の太刀《たち》も佩《は》いていた。あるものは袖口《そでぐち》を括《くく》った朱色の着物の上に、唐錦《からにしき》のちゃんちゃんを膝《ひざ》のあたりまで垂らして、まるで錦に包まれた猟人《かりゅうど》のように見えた。あるものは簑《みの》に似た青い衣《きぬ》をばらばらに着て、同じ青い色の笠《かさ》を腰に下げていた。――すべてが夢のようであった。われわれの祖先が残して行った遠い記念《かたみ》の匂《にお》いがした。みんなありがたそうな顔をしてそれを観《み》ていた。三沢も自分も狐に撮《
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