超越していた。彼らは錦で作った※[#「ころもへん+上」、第4水準2−88−9]※[#「ころもへん+下」、第4水準2−88−10]《かみしも》のようなものを着ていた。その※[#「ころもへん+上」、第4水準2−88−9]※[#「ころもへん+下」、第4水準2−88−10]には骨がないので肩のあたりは柔《やわら》かな線でぴたりと身体《からだ》に付いていた。袖《そで》には白の先へ幅三寸ぐらいの赤い絹が縫足《ぬいた》してあった。彼らはみな白の括《くく》り袴《ばかま》を穿《は》いていた。そうして一様《いちよう》に胡坐《あぐら》をかいた。
三沢は膝《ひざ》の上で何か書きかけた白い紙をくちゃくちゃにした。自分はそのくちゃくちゃになった紙の塊《かたま》りを横から眺めた。彼は一言《いちごん》の説明も与えずに正面を見た。青い毛氈《もうせん》の上に左の帳《とばり》の影から現われたものは鉾《ほこ》をもっていた。これも管絃《かんげん》を奏する人と同じく錦の袖無《そでなし》を着ていた。
三沢はいつまで経《た》っても「もう一人の女はね」の続きを云わなかった。観覧席にいるものはことごとく静粛であった。隣同志で話をする
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