うしろ》にはカーキー色の軍服を着けた士官が二人いた。そのほか六七人そこここに散点していた。
自分から一席置いて隣の二人連《ふたりづれ》は、舞台の正面にかかっている幕の話をしていた。それには雅楽に何の縁故《ゆかり》もなさそうに見える変な紋《もん》が、竪《たて》に何行も染め出されていた。
「あれが織田信長《おだのぶなが》の紋ですよ。信長が王室の式微《しきび》を慨《なげ》いて、あの幕を献上したというのが始まりで、それから以後は必ずあの木瓜《もっこう》の紋の付いた幕を張る事になってるんだそうです」
幕の上下は紫地《むらさきじ》に金《きん》の唐草《からくさ》の模様を置いた縁《ふち》で包んであった。
幕の前を見ると、真中に太鼓《たいこ》が据《す》えてあった。その太鼓には緑や金や赤の美しい彩色《いろどり》が施《ほどこ》されてあった。そうして薄くて丸い枠《わく》の中に入れてあった。左の端には火熨斗《ひのし》ぐらいの大きさの鐘がやはり枠の中に釣るしてあった。そのほかには琴《こと》が二面あった。琵琶《びわ》も二面あった。
楽器の前は青い毛氈《もうせん》で敷きつめられた舞をまう所になっていた。構造は
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