のであったけれども、大きさから云うと、普通《なみ》の箱火鉢と同じ事なので二人向い合せに手を翳《かざ》すと、顔と顔との距離があまり近過ぎるくらいの位地にあった。嫂《あによめ》は席に着いた初から寒いといって、猫背《ねこぜ》の人のように、心持胸から上を前の方に屈《こご》めて坐っていた。彼女のこの姿勢のうちには女らしいという以外に何の非難も加えようがなかった。けれどもその結果として自分は勢い後《うしろ》へ反《そ》り返る気味で座を構えなければならなくなった。それですら自分は彼女の富士額《ふじびたい》をこれほど近くかつ長く見つめた事はなかった。自分は彼女の蒼白《あおじろ》い頬の色を※[#「(諂−言)+炎」、第3水準1−87−64]《ほのお》のごとく眩《まぶ》しく思った。
自分はこういう比較的窮屈な態度の下《もと》に、彼女から突如として彼女と兄の関係が、自分が宅《うち》を出た後《あと》もただ好くない一方に進んで行くだけであるという厭《いや》な事実を聞かされた。彼女はこれまでこちらから問いかけなければ、けっして兄の事について口を開かない主義を取っていた。たといこちらから問いかけても「相変らずですわ」
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