はすべての結婚なるものを自《みずか》ら呪詛《じゅそ》しながら、新郎と新婦の手を握らせなければならない仲人《なこうど》の喜劇と悲劇とを同時に感じつつ坐《すわ》っていたかも知れない。
 とにかく兄は真面目《まじめ》に坐っていた。嫂も、佐野さんも、お貞さんも、真面目に坐っていた。そのうち式が始まった。巫女《みこ》の一人が、途中から腹痛で引き返したというので介添《かいぞえ》がその代りを勤めた。
 自分の隣に坐っていたお重が「大兄さんの時より淋しいのね」と私語《ささや》いた。その時は簫《しょう》や太鼓を入れて、巫女の左右に入れ交《か》う姿も蝶《ちょう》のように翩々《ひらひら》と華麗《はなやか》に見えた。
「御前の嫁に行く時は、あの時ぐらい賑《にぎや》かにしてやるよ」と自分はお重に云った。お重は笑っていた。
 式が済んでみんなが控所へ帰った時、お貞さんは我々が立っているのに、わざわざ絨氈《じゅうたん》の上に手を突いて、今まで厄介になった礼を丁寧《ていねい》に述べた。彼女の眼には淋《さび》しそうな涙がいっぱい溜《たま》っていた。
 新夫婦と岡田は昼の汽車で、すぐ大阪へ向けて立った。自分は雨のプラット
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