ん》なが笑い出したので、自分はほっと一《ひ》と息《いき》吐《つ》いた。

        三十四

 芳江が「叔父さんちょっといらっしゃい」と次の間から小さな手を出して自分を招いた。「何だい」と立って行くと彼女はどこからか、大きな信玄袋《しんげんぶくろ》を引摺《ひきず》り出して、「これお貞さんのよ、見せたげましょうか」と自慢らしく自分を見た。
 彼女は信玄袋の中から天鵞絨《びろうど》で張った四角な箱を出した。自分はその中にある真珠の指環を手に取って、ふんと云いながら眺めた。芳江は「これもよ」と云って、今度は海老茶色《えびちゃいろ》のを出したが、これは自分が洗濯その他《た》の世話になった礼に買ってやった宝石なしの単純な金の指環であった。彼女はまた「これもよ」と云って、繻珍《しゅちん》の紙入を出した。その紙入には模様風に描いた菊の花が金で一面に織り出されていた。彼女はその次に比較的大きくて細長い桐《きり》の箱を出した。これは金と赤銅《しゃくどう》と銀とで、蔦《つた》の葉を綴《つづ》った金具の付いている帯留《おびどめ》であった。最後に彼女は櫛《くし》と笄《こうがい》を示して、「これ卵甲《らん
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