に肌寒《はださむ》の象徴《シンボル》のごとく響いた。
 こういう寂寞《せきばく》たる団欒《だんらん》の中に、お貞さんは日ごとに近づいて来る我結婚の日限《にちげん》を考えるよりほかに、何の天地もないごとくに、盆を膝《ひざ》の上へ載《の》せて御給仕をしていた。陽気な父は周囲に頓着《とんじゃく》なく、己《おの》れに特有な勝手な話ばかりした。しかしその反響はいつものようにどこからも起らなかった。父の方でもまるでそれを予期する気色《けしき》は見えなかった。
 時々席に列《つらな》ったものが、一度に声を出して笑う種になったのはただ芳江ばかりであった。母などは話が途切《とぎ》れておのずと不安になるたびに、「芳江お前は……」とか何とか無理に問題を拵《こしら》えて、一時を糊塗《こと》するのを例にした。するとそのわざとらしさが、すぐ兄の神経に触った。
 自分は食卓を退《しりぞ》いて自分の室《へや》に帰るたびに、ほっと一息吐《ひといきつ》くように煙草《たばこ》を呑んだ。
「つまらない。一面識《いちめんしき》のないものが寄って会食するよりなおつまらない。他《ひと》の家庭もみんなこんな不愉快なものかしら」
 自
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