とよく調和した。
 彼らは二人とも袴《はかま》のまま、羽織を脱ぎ放しにしていた。三人のうちで袴を着けていなかったのは父ばかりであったが、その父でさえ羽織だけは遠慮していた。
 自分は見知り合だから正面の客に挨拶《あいさつ》かたがた、「どうか拝聴を……」と頭を下げた。客はちょっと恐縮の体《てい》を装《よそお》って、「いやどうも……」と頭を掻《か》く真似をした。父は自分にまたお重の事を尋ねたので、「先刻《さっき》から少し頭痛がするそうで、御挨拶《ごあいさつ》に出られないのを残念がっていました」と答えた。父は客の方を見ながら、「お重が心持が悪いなんて、まるで鬼の霍乱《かくらん》だな」と云って、今度は自分に、「先刻|綱《つな》(母の名)の話では腹が痛いように聞いたがそうじゃない頭痛なのかい」と聞き直した。自分はしまったと思ったが「多分両方なんでしょう。胃腸の熱で頭が痛む事もあるようだから。しかし心配するほどの病気じゃないようです。じき癒《なお》るでしょう」と答えた。客は蒼蠅《うるさ》いほどお重に同情の言葉を注射した後《あと》、「じゃ残念だが始めましょうか」と云い出した。
 聴手《ききて》には、
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