だ自分は、わざと巻莨《まきたばこ》を吹かしつづけた。
自分はこの時の自分の心理状態を解剖して、今から顧みると、兄に調戯《からか》うというほどでもないが、多少彼を焦《じ》らす気味でいたのはたしかであると自白せざるを得ない。もっとも自分がなぜそれほど兄に対して大胆になり得たかは、我ながら解らない。恐らく嫂の態度が知らぬ間に自分に乗り移っていたものだろう。自分は今になって、取り返す事も償《つぐな》う事もできないこの態度を深く懺悔《ざんげ》したいと思う。
自分が巻莨を吹かして黙っていると兄ははたして「二郎」と呼びかけた。
「お前|直《なお》の性質が解ったかい」
「解りません」
自分は兄の問の余りに厳格なため、ついこう簡単に答えてしまった。そうしてそのあまりに形式的なのに後から気がついて、悪かったと思い返したが、もう及ばなかった。
兄はその後《のち》一口も聞きもせず、また答えもしなかった。二人こうして黙っている間が、自分には非常な苦痛であった。今考えると兄には、なおさらの苦痛であったに違ない。
「二郎、おれはお前の兄として、ただ解りませんという冷淡な挨拶《あいさつ》を受けようとは思わなか
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