事話す事になっています。そう云う約束になってるんだから、お母さんが心配なさる必要はありません。安心していらっしゃい」
「じゃなるべく早く片づけた方が好いよ二郎」
 自分達はその明くる宵《よい》の急行で東京へ帰る事にきめていた。実はまだ大阪を中心として、見物かたがた歩くべき場所はたくさんあったけれども、母の気が進まず、兄の興味が乗らず、大阪で中継《なかつぎ》をする時間さえ惜んで、すぐ東京まで寝台で通そうと云うのが母と兄の主張であった。
 自分達は是非共|翌日《あした》の朝の汽車で和歌山から大阪へ向けて立たなければならなかった。自分は母の命令で岡田の宅《うち》まで電報を打った。
「佐野さんへはかける必要もないでしょう」と云いながら自分は母と兄の顔を眺めた。
「あるまい」と兄が答えた。
「岡田へさえ打っておけば、佐野さんはうっちゃっておいてもきっと送りに来てくれるよ」
 自分は電報紙を持ちながら、是非共お貞《さだ》さんを貰いたいという佐野のお凸額《でこ》とその金縁眼鏡《きんぶちめがね》を思い出した。
「ではあのお凸額さんは止《や》めておこう」
 自分はこう云って、みんなを笑わせた。自分がとう
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