われた。その顔を見ると、やっぱり坑夫の類型《タイプ》である。黒のモーニングに縞《しま》の洋袴《ズボン》を着て、襟《えり》の外へ顎《あご》を突き出して、
「御前か、健康診断をして貰うのは」
と云った。この語勢には、馬に対しても、犬に対しても、是非腹の内《なか》で云うべきほどの敬意が籠《こも》っていた。
「ええ」
と自分は椅子を離れた。
「職業は何だ」
「職業って別に何にもないんです」
「職業がない。じゃ、今まで何をして生きていたのか」
「ただ親の厄介《やっかい》になっていました」
「親の厄介になっていた。親の厄介になって、ごろごろしていたのか」
「まあ、そうです」
「じゃ、ごろつきだな」
自分は答をしなかった。
「裸になれ」
自分は裸になった。医者は聴診器で胸と背中をちょっと視《み》た上、いきなり自分の鼻を撮《つま》んだ。
「息をして見ろ」
息が口から出る。医者は口の所へ手をあてがった。
「今度《こんだ》口を塞《ふさ》ぐんだ」
医者は鼻の下へ手をあてた。
「どうでしょう。坑夫になれますか」
「駄目だ」
「どこか悪いですか」
「今書いてやる」
医者は四角な紙片《かみきれ》へ、何
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