《うち》に、淡い喜びがあった。
もしこの状態が一時間続いたら、自分は一時間の間満足していたろう。一日続いたら一日の間満足したに違ない。もし百年続いたにしても、やっぱり嬉しかったろう。ところが――ここでまた新しい心の活作用に現参《げんざん》した。
というのはあいにく、この状態が自分の希望通同じ所に留っていてくれなかった。動いて来た。油の尽きかかったランプ[#「ランプ」に傍点]の灯《ひ》のように動いて来た。意識を数字であらわすと、平生《へいぜい》十のものが、今は五になって留まっていた。それがしばらくすると四になる。三になる。推して行けばいつか一度は零《れい》にならなければならない。自分はこの経過に連れて淡くなりつつ変化する嬉《うれ》しさを自覚していた。この経過に連れて淡く変化する自覚の度において自覚していた。嬉しさはどこまで行っても嬉しいに違ない。だから理窟《りくつ》から云うと、意識がどこまで降《さが》って行こうとも、自分は嬉しいとのみ思って、満足するよりほかに道はないはずである。ところがだんだんと競《せ》りおろして来て、いよいよ零に近くなった時、突然として暗中《あんちゅう》から躍《お
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