[#「すのこ」に傍点]とはどんなもんですか」
「なに?」
と初さんが後《うしろ》を振り向いた。
「すのこ[#「すのこ」に傍点]とはどんなもんですか」
「穴だ」
「え?」
「穴だよ。――鉱《あらがね》を抛《ほう》り込んで、纏《まと》めて下へ降《さ》げる穴だ。鉱といっしょに抛り込まれて見ねえ……」
で言葉を切ってまたずんずん行く。
自分はちょっと立ち留った。振り返ると、入口が小さい月のように見える。這入《はい》るときは、これがシキ[#「シキ」に傍点]ならと思った。聞いたほどでもないと思った。ところが初さんに威嚇《おど》かされてから、いかな平凡な隧道《トンネル》も、大いに容子《ようす》が変って来た。懲役笠《ちょうえきがさ》をたたく冷たい雨が恋しくなった。そこで振り返ると、入口が小さい月のように見える。小さい月のように見えるほど奥へ這入ったなと、振り返って始めて気がついた。いくら曇っていてもやっぱり外が懐《なつ》かしい。真黒な天井《てんじょう》が上から抑《おさ》えつけてるのは心持のわるいものだ。しかもこの天井がだんだん低くなって来るように感ぜられる。と思うと、軌道《レール》を横へ切れて、右へ
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