と……」
初さんの出した鑿を受け取って見ると、長さ一尺四五寸もあろうと云う鉄の棒で、先が少し尖《とが》っている。これを腰へ差す。
「ついでにこれも差すんだ。少し重いぜ。大丈夫か。しっかり受け取らねえと怪我をする」
なるほど重い。こんな槌《つち》を差してよく坑《あな》の中が歩けるもんだと思う。
「どうだ重いか」
「ええ」
「それでも軽いうちだ。重いのになると五斤ある。――いいか、差せたか、そこでちょっと腰を振って見な。大丈夫か。大丈夫ならこれを提《さ》げるんだ」
とカンテラ[#「カンテラ」に傍点]を出しかけたが、
「待ったり。カンテラ[#「カンテラ」に傍点]の前に一つ草鞋《わらじ》を穿《は》いちまいねえ」
草鞋《わらじ》の新しいのが、上り口にある。さっき婆さんが振《ぶ》ら下げてたのは、大方これだろう。自分は素足《すあし》の上へ草鞋を穿《は》いた。緒《お》を踵《かかと》へ通してぐっと引くと、
「駑癡《どじ》だなあ。そんなに締める奴があるかい。もっと指《いび》の股を寛《ゆる》めろい」
と叱られた。叱られながら、どうにか、こうにか穿いてしまう。
「さあ、これでいよいよおしまいだ」
と初さ
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