ろう。できるにきまってるとまで感じた。だから、いくら誰が何と云っても帰るまい、きっとこの社会で一人前以上になって成功して見せる。――随分思い切ってつまらない考えを起したもんだが、今から見ても、多少論理には叶《かな》っているようだ。そこでこの坑夫の忠告には謹《つつし》んで耳を傾《かたぶ》けていたが、別段先方の注文通りに、では帰りましょうと云う返事もしなかった。そのうちいったん静まりかけた愚弄《ぐろう》の舌《した》がまた動き出した。
「いる気なら置いてやるが、ここにゃ、それぞれ掟《おきて》があるから呑《の》み込んで置かなくっちゃ迷惑だぜ」
と一人が云うから、
「どんな掟ですか」
と聞くと、
「馬鹿だなあ。親分もあり兄弟分《きょうでえぶん》もあるじゃねえか」
と、大変な大きな声を出した。
「親分たどんなもんですか」
と質問して見た。実はあまりがみがみ云うから、黙っていようかしらんとも思ったけれども、万一掟を破って、あとで苛《ひど》い目に逢《あ》うのが怖《こわ》いから、まあ聞いて見た。すると他《ほか》の坑夫が、すぐ、返事をした。
「しようのねえ奴だな。親分を知らねえのか。親分も兄弟分も知らねえ
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