「そうね」
「殿下さまでも利《き》かないでしょう。法螺吹きもしようがないから、とても私《わたし》の手際《てぎわ》では、あの地蔵はどうする事も出来ませんと降参をしたそうです」
「いい気味ね」
「ええ、ついでに懲役《ちょうえき》にやればいいのに。――でも町内のものは大層気を揉《も》んで、また相談を開いたんですが、もう誰も引き受けるものがないんで弱ったそうです」
「それでおしまい?」
「まだあるのよ。一番しまいに車屋とゴロツキを大勢雇って、地蔵様の周《まわ》りをわいわい騒いであるいたんです。ただ地蔵様をいじめて、いたたまれないようにすればいいと云って、夜昼|交替《こうたい》で騒ぐんだって」
「御苦労様ですこと」
「それでも取り合わないんですとさ。地蔵様の方も随分強情ね」
「それから、どうして?」ととん[#「とん」に傍点]子が熱心に聞く。
「それからね、いくら毎日毎日騒いでも験《げん》が見えないので、大分《だいぶ》みんなが厭《いや》になって来たんですが、車夫やゴロツキは幾日《いくんち》でも日当《にっとう》になる事だから喜んで騒いでいましたとさ」
「雪江さん、日当ってなに?」とすん[#「すん
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