に傍点]を担《かつ》いで書斎の方へ行ってしまった。やがてぱたぱた書斎中を叩《たた》き散らす音がするのは例によって例のごとき掃除を始めたのである。一体掃除の目的は運動のためか、遊戯のためか、掃除の役目を帯びぬ吾輩の関知するところでないから、知らん顔をしていれば差《さ》し支《つか》えないようなものの、ここの細君の掃除法のごときに至ってはすこぶる無意義のものと云わざるを得ない。何が無意義であるかと云うと、この細君は単に掃除のために掃除をしているからである。はたき[#「はたき」に傍点]を一通り障子《しょうじ》へかけて、箒を一応畳の上へ滑《すべ》らせる。それで掃除は完成した者と解釈している。掃除の源因及び結果に至っては微塵《みじん》の責任だに背負っておらん。かるが故に奇麗な所は毎日奇麗だが、ごみ[#「ごみ」に傍点]のある所、ほこり[#「ほこり」に傍点]の積っている所はいつでもごみ[#「ごみ」に傍点]が溜《たま》ってほこり[#「ほこり」に傍点]が積っている。告朔《こくさく》の※[#「食へん+氣」、第4水準2−92−67]羊《きよう》と云う故事《こじ》もある事だから、これでもやらんよりはましかも知れ
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