オだとらぞう》とある。虎蔵君と並んで立っているのは二十五六の背《せい》の高い、いなせ[#「いなせ」に傍点]な唐桟《とうざん》ずくめの男である。妙な事にこの男は主人と同じく懐手をしたまま、無言で突立《つった》っている。何だか見たような顔だと思ってよくよく観察すると、見たようなどころじゃない。この間深夜御来訪になって山《やま》の芋《いも》を持って行かれた泥棒君である。おや今度は白昼公然と玄関からおいでになったな。
「おいこの方《かた》は刑事巡査でせんだっての泥棒をつらまえたから、君に出頭しろと云うんで、わざわざおいでになったんだよ」
主人はようやく刑事が踏み込んだ理由が分ったと見えて、頭をさげて泥棒の方を向いて鄭寧《ていねい》に御辞儀をした。泥棒の方が虎蔵君より男振りがいいので、こっちが刑事だと早合点《はやがてん》をしたのだろう。泥棒も驚ろいたに相違ないが、まさか私《わたし》が泥棒ですよと断わる訳にも行かなかったと見えて、すまして立っている。やはり懐手のままである。もっとも手錠《てじょう》をはめているのだから、出そうと云っても出る気遣《きづかい》はない。通例のものならこの様子でたいていは
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