ォ》となると怖《こわ》いくらい早く物に応ずる事が出来る。ほかのものが地震だと云って狼狽《うろた》えているところを自分だけは二階の窓から飛び下りたところに修業の効があらわれて嬉しいと云って、跛《びっこ》を引きながらうれしがっていた。負惜みの強い男だ。一体|禅《ぜん》とか仏《ぶつ》とか云って騒ぎ立てる連中ほどあやしいのはないぜ」
「そうかな」と苦沙弥先生少々腰が弱くなる。
「この間来た時禅宗坊主の寝言《ねごと》見たような事を何か云ってったろう」
「うん電光影裏《でんこうえいり》に春風《しゅんぷう》をきるとか云う句を教えて行ったよ」
「その電光さ。あれが十年前からの御箱《おはこ》なんだからおかしいよ。無覚禅師《むかくぜんじ》の電光ときたら寄宿舎中誰も知らないものはないくらいだった。それに先生時々せき込むと間違えて電光影裏を逆《さか》さまに春風影裏に電光をきると云うから面白い。今度ためして見たまえ。向《むこう》で落ちつき払って述べたてているところを、こっちでいろいろ反対するんだね。するとすぐ顛倒《てんとう》して妙な事を云うよ」
「君のようないたずらものに逢っちゃ叶《かな》わない」
「どっちがい
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