q裁縫最高等大学院
[#地から2字上げ]校長 縫田針作《ぬいだしんさく》 九拝
とある。主人はこの鄭重《ていちょう》なる書面を、冷淡に丸めてぽんと屑籠《くずかご》の中へ抛《ほう》り込んだ。せっかくの針作君の九拝も臥薪甞胆も何の役にも立たなかったのは気の毒である。第三信にかかる。第三信はすこぶる風変りの光彩を放っている。状袋が紅白のだんだらで、飴《あめ》ん棒《ぼう》の看板のごとくはなやかなる真中に珍野苦沙弥《ちんのくしゃみ》先生|虎皮下《こひか》と八分体《はっぷんたい》で肉太に認《したた》めてある。中からお太《た》さんが出るかどうだか受け合わないが表《おもて》だけはすこぶる立派なものだ。
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若《も》し我を以て天地を律すれば一口《ひとくち》にして西江《せいこう》の水を吸いつくすべく、若《も》し天地を以て我を律すれば我は則《すなわ》ち陌上《はくじょう》の塵のみ。すべからく道《い》え、天地と我と什麼《いんも》の交渉かある。……始めて海鼠《なまこ》を食い出《いだ》せる人は其胆力に於て敬すべく、始めて河豚《ふぐ》を喫《きつ》せる漢《おとこ》は其勇気に於《おい》て重んずべし。
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