]う感じがした。よくよく考えて見るとそれは御三《おさん》の顔である。ついでだから御三の顔をちょっと紹介するが、それはそれはふくれたものである。この間さる人が穴守稲荷《あなもりいなり》から河豚《ふぐ》の提灯《ちょうちん》をみやげに持って来てくれたが、ちょうどあの河豚提灯《ふぐちょうちん》のようにふくれている。あまりふくれ方が残酷なので眼は両方共紛失している。もっとも河豚のふくれるのは万遍なく真丸《まんまる》にふくれるのだが、お三とくると、元来の骨格が多角性であって、その骨格通りにふくれ上がるのだから、まるで水気《すいき》になやんでいる六角時計のようなものだ。御三が聞いたらさぞ怒《おこ》るだろうから、御三はこのくらいにしてまた主人の方に帰るが、かくのごとくあらん限りの空気をもって頬《ほ》っぺたをふくらませたる彼は前《ぜん》申す通り手のひらで頬《ほっ》ぺたを叩きながら「このくら「皮膚が緊張するとあばた[#「あばた」に傍点]も眼につかん」とまた独《ひと》り語《ごと》をいった。
 こんどは顔を横に向けて半面に光線を受けた所を鏡にうつして見る。「こうして見ると大変目立つ。やっぱりまともに日の向いて
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