ナすから無暗《むやみ》に痩我慢を張るんでしょう。昔からああ云う癖のある男で、つまり自分の損になる事に気が付かないんですから度《ど》し難《がた》いです」
「あはははほんとに度《ど》し難《がた》い。いろいろ手を易《か》え品を易《か》えてやって見るんだがね。とうとうしまいに学校の生徒にやらした」
「そいつは妙案ですな。利目《ききめ》がございましたか」
「これにゃあ、奴も大分《だいぶ》困ったようだ。もう遠からず落城するに極《きま》っている」
「そりゃ結構です。いくら威張っても多勢《たぜい》に無勢《ぶぜい》ですからな」
「そうさ、一人じゃあ仕方がねえ。それで大分《だいぶ》弱ったようだが、まあどんな様子か君に行って見て来てもらおうと云うのさ」
「はあ、そうですか。なに訳はありません。すぐ行って見ましょう。容子《ようす》は帰りがけに御報知を致す事にして。面白いでしょう、あの頑固《がんこ》なのが意気銷沈《いきしょうちん》しているところは、きっと見物《みもの》ですよ」
「ああ、それじゃ帰りに御寄り、待っているから」
「それでは御免蒙《ごめんこうむ》ります」
 おや今度もまた魂胆《こんたん》だ、なるほど実
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