ニの頭の方が亀の甲より軟らかであったものだから、禿はめちゃめちゃに砕けて有名なるイスキラスはここに無惨《むざん》の最後を遂げた。それはそうと、解《げ》しかねるのは鷲の了見である。例の頭を、作家の頭と知って落したのか、または禿岩と間違えて落したものか、解決しよう次第で、落雲館の敵とこの鷲とを比較する事も出来るし、また出来なくもなる。主人の頭はイスキラスのそれのごとく、また御歴々《おれきれき》の学者のごとくぴかぴか光ってはおらん。しかし六畳敷にせよいやしくも書斎と号する一室を控《ひか》えて、居眠りをしながらも、むずかしい書物の上へ顔を翳《かざ》す以上は、学者作家の同類と見傚《みな》さなければならん。そうすると主人の頭の禿げておらんのは、まだ禿げるべき資格がないからで、その内に禿げるだろうとは近々《きんきん》この頭の上に落ちかかるべき運命であろう。して見れば落雲館の生徒がこの頭を目懸けて例のダムダム丸《がん》を集注するのは策のもっとも時宜《じぎ》に適したものと云わねばならん。もし敵がこの行動を二週間継続するならば、主人の頭は畏怖《いふ》と煩悶《はんもん》のため必ず営養の不足を訴えて、金柑《き
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