R自在に往来する事が出来る。こしらえたって、こしらえなくたって同じ事だ。然し落雲館の校長は猫のために四つ目垣を作ったのではない、自分が養成する君子が潜《くぐ》られんために、わざわざ職人を入れて結《ゆ》い繞《めぐ》らせたのである。なるほどいくら風通しがよく出来ていても、人間には潜《くぐ》れそうにない。この竹をもって組み合せたる四寸角の穴をぬける事は、清国《しんこく》の奇術師|張世尊《ちょうせいそん》その人といえどもむずかしい。だから人間に対しては充分垣の功能をつくしているに相違ない。主人がその出来上ったのを見て、これならよかろうと喜んだのも無理はない。しかし主人の論理には大《おおい》なる穴がある。この垣よりも大いなる穴がある。呑舟《どんしゅう》の魚をも洩《も》らすべき大穴がある。彼は垣は踰《こ》ゆべきものにあらずとの仮定から出立している。いやしくも学校の生徒たる以上はいかに粗末の垣でも、垣と云う名がついて、分界線の区域さえ判然すれば決して乱入される気遣はないと仮定したのである。次に彼はその仮定をしばらく打ち崩《くず》して、よし乱入する者があっても大丈夫と論断したのである。四つ目垣の穴を潜
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