Bからかいかけるや否や八つ裂きにされてしまう。からかうと歯をむき出して怒《おこ》る、怒る事は怒るが、こっちをどうする事も出来ないと云う安心のある時に愉快は非常に多いものである。なぜこんな事が面白いと云うとその理由はいろいろある。まずひまつぶしに適している。退屈な時には髯《ひげ》の数さえ勘定して見たくなる者だ。昔《むか》し獄に投ぜられた囚人の一人は無聊《ぶりょう》のあまり、房《へや》の壁に三角形を重ねて画《か》いてその日をくらしたと云う話がある。世の中に退屈ほど我慢の出来にくいものはない、何か活気を刺激する事件がないと生きているのがつらいものだ。からかう[#「からかう」に傍点]と云うのもつまりこの刺激を作って遊ぶ一種の娯楽である。但《ただ》し多少先方を怒らせるか、じらせるか、弱らせるかしなくては刺激にならんから、昔しからからかう[#「からかう」に傍点]と云う娯楽に耽《ふけ》るものは人の気を知らない馬鹿大名のような退屈の多い者、もしくは自分のなぐさみ以外は考うるに暇《いとま》なきほど頭の発達が幼稚で、しかも活気の使い道に窮する少年かに限っている。次には自己の優勢な事を実地に証明するものには
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