ェ這入《はい》り次第やる事にして、今夜はこれでやめよう」と飯茶椀を出す。何でも茶漬を三ぜん食ったようだ。吾輩はその夜《よ》豚肉|三片《みきれ》と塩焼の頭を頂戴した。

        八

 垣巡《かきめぐ》りと云《い》う運動を説明した時に、主人の庭を結《ゆ》い繞《めぐ》らしてある竹垣の事をちょっと述べたつもりであるが、この竹垣の外がすぐ隣家、即ち南隣《みなみどなり》の次郎《じろ》ちゃんとこと思っては誤解である。家賃は安いがそこは苦沙弥《くしゃみ》先生である。与《よ》っちゃんや次郎ちゃんなどと号する、いわゆるちゃん付きの連中と、薄っ片《ぺら》な垣一重を隔てて御隣り同志の親密なる交際は結んでおらぬ。この垣の外は五六間の空地《あきち》であって、その尽くるところに檜《ひのき》が蓊然《こんもり》と五六本|併《なら》んでいる。椽側《えんがわ》から拝見すると、向うは茂った森で、ここに往む先生は野中の一軒家に、無名の猫を友にして日月《じつげつ》を送る江湖《こうこ》の処士《しょし》であるかのごとき感がある。但《ただ》し檜の枝は吹聴《ふいちょう》するごとく密生しておらんので、その間《あいだ》から群鶴館《
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