ェ和唐内さ。それから国へ帰って見ると大明は国賊に亡ぼされていた。……」何を云うのかさっぱり分らない。その後《うし》ろに二十五六の陰気な顔をした男が、ぼんやりして股の所を白い湯でしきりにたでている。腫物《はれもの》か何かで苦しんでいると見える。その横に年の頃は十七八で君とか僕とか生意気な事をべらべら喋舌《しゃべ》ってるのはこの近所の書生だろう。そのまた次に妙な背中《せなか》が見える。尻の中から寒竹《かんちく》を氓オ込んだように背骨《せぼね》の節が歴々《ありあり》と出ている。そうしてその左右に十六むさしに似たる形が四個ずつ行儀よく並んでいる。その十六むさしが赤く爛《ただ》れて周囲《まわり》に膿《うみ》をもっているのもある。こう順々に書いてくると、書く事が多過ぎて到底吾輩の手際《てぎわ》にはその一斑《いっぱん》さえ形容する事が出来ん。これは厄介な事をやり始めた者だと少々|辟易《へきえき》していると入口の方に浅黄木綿《あさぎもめん》の着物をきた七十ばかりの坊主がぬっと見《あら》われた。坊主は恭《うやうや》しくこれらの裸体の化物に一礼して「へい、どなた様も、毎日相変らずありがとう存じます。今日は
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