明《こうめい》の軍略で攻めつける。約三十分この順序を繰り返して、身動きも出来なくなったところを見すましてちょっと口へ啣《くわ》えて振って見る。それからまた吐き出す。今度は地面の上へ寝たぎり動かないから、こっちの手で突っ付いて、その勢で飛び上がるところをまた抑えつける。これもいやになってから、最後の手段としてむしゃむしゃ食ってしまう。ついでだから蟷螂を食った事のない人に話しておくが、蟷螂はあまり旨《うま》い物ではない。そうして滋養分も存外少ないようである。蟷螂狩《とうろ、が》りに次いで蝉取《せみと》りと云う運動をやる。単に蝉と云ったところが同じ物ばかりではない。人間にも油野郎《あぶらやろう》、みんみん野郎、おしいつくつく野郎があるごとく、蝉にも油蝉、みんみん、おしいつくつくがある。油蝉はしつこくて行《い》かん。みんみんは横風《おうふう》で困る。ただ取って面白いのはおしいつくつくである。これは夏の末にならないと出て来ない。八《や》つ口《くち》の綻《ほころ》びから秋風《あきかぜ》が断わりなしに膚《はだ》を撫《な》でてはっくしょ風邪《かぜ》を引いたと云う頃|熾《さかん》に尾を掉《ふ》り立ててな
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