いいが、それからどうするのだい」と東風君、ことによると、やる了見《りょうけん》と見えて筋を聞きたがる。「ところへ花道から俳人|高浜虚子《たかはまきょし》がステッキを持って、白い灯心《とうしん》入りの帽子を被《かぶ》って、透綾《すきや》の羽織に、薩摩飛白《さつまがすり》の尻端折《しりっぱしょ》りの半靴と云うこしらえで出てくる。着付けは陸軍の御用達《ごようたし》見たようだけれども俳人だからなるべく悠々《ゆうゆう》として腹の中では句案に余念のない体《てい》であるかなくっちゃいけない。それで虚子が花道を行き切っていよいよ本舞台に懸った時、ふと句案の眼をあげて前面を見ると、大きな柳があって、柳の影で白い女が湯を浴びている、はっと思って上を見ると長い柳の枝に烏が一羽とまって女の行水を見下ろしている。そこで虚子先生|大《おおい》に俳味に感動したと云う思い入れが五十秒ばかりあって、行水の女に惚れる烏かな[#「行水の女に惚れる烏かな」に傍点]と大きな声で一句朗吟するのを合図に、拍子木《ひょうしぎ》を入れて幕を引く。――どうだろう、こう云う趣向は。御気に入りませんかね。君|御宮《おみや》になるより虚子にな
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