た。なにかからげるものはないかとあたりを見廻す。と、幸い主人が寝る時に解《と》きすてた縮緬《ちりめん》の兵古帯《へこおび》がある。陰士は山の芋の箱をこの帯でしっかり括《くく》って、苦もなく背中へしょう。あまり女が好《す》く体裁ではない。それから小供のちゃんちゃんを二枚、主人のめり安《やす》の股引《ももひき》の中へ押し込むと、股のあたりが丸く膨《ふく》れて青大将《あおだいしょう》が蛙《かえる》を飲んだような――あるいは青大将の臨月《りんげつ》と云う方がよく形容し得るかも知れん。とにかく変な恰好《かっこう》になった。嘘だと思うなら試しにやって見るがよろしい。陰士はめり安をぐるぐる首《くび》っ環《たま》へ捲《ま》きつけた。その次はどうするかと思うと主人の紬《つむぎ》の上着を大風呂敷のように拡《ひろ》げてこれに細君の帯と主人の羽織と繻絆《じゅばん》とその他あらゆる雑物《ぞうもつ》を奇麗に畳んでくるみ込む。その熟練と器用なやり口にもちょっと感心した。それから細君の帯上げとしごきとを続《つ》ぎ合わせてこの包みを括《くく》って片手にさげる。まだ頂戴《ちょうだい》するものは無いかなと、あたりを見廻して
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