るね。なあに、そりゃ、ほんの冗談《じょうだん》だろうがね、そのくらいにせんと金は溜らんと云う喩《たとえ》さ。君のようにそう真面目に解釈しちゃ困る」
「三角術は冗談でもいいが、あすこの女房の鼻はなんだ。君行ったんなら見て来たろう、あの鼻を」
「細君か、細君はなかなかさばけた人だ」
「鼻だよ、大きな鼻の事を云ってるんだ。せんだって僕はあの鼻について俳体詩《はいたいし》を作ったがね」
「何だい俳体詩と云うのは」
「俳体詩を知らないのか、君も随分時勢に暗いな」
「ああ僕のように忙がしいと文学などは到底《とうてい》駄目さ。それに以前からあまり数奇《すき》でない方だから」
「君シャーレマンの鼻の恰好《かっこう》を知ってるか」
「アハハハハ随分気楽だな。知らんよ」
「エルリントンは部下のものから鼻々と異名《いみょう》をつけられていた。君知ってるか」
「鼻の事ばかり気にして、どうしたんだい。好いじゃないか鼻なんか丸くても尖《と》んがってても」
「決してそうでない。君パスカルの事を知ってるか」
「また知ってるかか、まるで試験を受けに来たようなものだ。パスカルがどうしたんだい」
「パスカルがこんな事を云っ
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