は大分違うもんだな」と主人は鈴木君を見上げたり見下ろしたりしている。鈴木君は頭を美麗《きれい》に分けて、英国仕立のトウィードを着て、派手な襟飾《えりかざ》りをして、胸に金鎖りさえピカつかせている体裁、どうしても苦沙弥《くしゃみ》君の旧友とは思えない。
「うん、こんな物までぶら下げなくちゃ、ならんようになってね」と鈴木君はしきりに金鎖りを気にして見せる。
「そりゃ本ものかい」と主人は無作法《ぶさほう》な質問をかける。
「十八金だよ」と鈴木君は笑いながら答えたが「君も大分年を取ったね。たしか小供があるはずだったが一人かい」
「いいや」
「二人?」
「いいや」
「まだあるのか、じゃ三人か」
「うん三人ある。この先|幾人《いくにん》出来るか分らん」
「相変らず気楽な事を云ってるぜ。一番大きいのはいくつになるかね、もうよっぽどだろう」
「うん、いくつか能《よ》く知らんが大方《おおかた》六つか、七つかだろう」
「ハハハ教師は呑気《のんき》でいいな。僕も教員にでもなれば善かった」
「なって見ろ、三日で嫌《いや》になるから」
「そうかな、何だか上品で、気楽で、閑暇《ひま》があって、すきな勉強が出来て、
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