する。吾輩もいささか賛成の意を表するためににゃーにゃーと二声ばかり鳴いて見せる。寒月君は別段騒いだ様子もなく「先生方の御意向がそうなら、私は断念してもいいんですが、もし当人がそれを気にして病気にでもなったら罪ですから――」「ハハハハハ艶罪《えんざい》と云う訳《わけ》だ」主人だけは大《おおい》にむきになって「そんな馬鹿があるものか、あいつの娘なら碌《ろく》な者でないに極《きま》ってらあ。初めて人のうちへ来ておれをやり込めに掛った奴だ。傲慢《ごうまん》な奴だ」と独《ひと》りでぷんぷんする。するとまた垣根のそばで三四人が「ワハハハハハ」と云う声がする。一人が「高慢ちきな唐変木《とうへんぼく》だ」と云うと一人が「もっと大きな家《うち》へ這入《はい》りてえだろう」と云う。また一人が「御気の毒だが、いくら威張ったって蔭弁慶《かげべんけい》だ」と大きな声をする。主人は椽側《えんがわ》へ出て負けないような声で「やかましい、何だわざわざそんな塀《へい》の下へ来て」と怒鳴《どな》る。「ワハハハハハサヴェジ・チーだ、サヴェジ・チーだ」と口々に罵《のの》しる。主人は大《おおい》に逆鱗《げきりん》の体《てい》で
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