《びんずる》の頭が自《おのず》から光明を放つがごとく、不思議薫《ふしぎくん》不思議臭《ふしぎしゅう》の喩《たとえ》のごとく、斯様《かよう》に鼻筋が通って堅くなります。「それでも君のなんぞ、ぶくぶくだぜ」「演者自身の局部は回護《かいご》の恐れがありますから、わざと論じません。かの金田の御母堂の持たせらるる鼻のごときは、もっとも発達せるもっとも偉大なる天下の珍品として御両君に紹介しておきたいと思います」寒月君は思わずヒヤヤヤと云う。「しかし物も極度に達しますと偉観には相違ございませんが何となく怖《おそろ》しくて近づき難いものであります。あの鼻梁《びりょう》などは素晴しいには違いございませんが、少々|峻嶮《しゅんけん》過ぎるかと思われます。古人のうちにてもソクラチス、ゴールドスミスもしくはサッカレーの鼻などは構造の上から云うと随分申し分はございましょうがその申し分のあるところに愛嬌《あいきょう》がございます。鼻高きが故に貴《たっと》からず、奇《きtなるがために貴しとはこの故でもございましょうか。下世話《げせわ》にも鼻より団子と申しますれば美的価値から申しますとまず迷亭くらいのところが適当かと
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