そうさその理想の極端は京人形だ。人形は器械だけに厭味《いやみ》がない」
「どうも淡粧《あっさり》して、活動する奴が一番人間の分子が多くって危険だ」
「ハハハハいかなる哲学者でも危険だろうな。ところが都踊となると、外交官にも危険はない。至極《しごく》御同感だ。御互に無事な所へ遊びに来てまあ善《よ》かったよ」
「人間の分子も、第一義が活動すると善いが、どうも普通は第十義ぐらいがむやみに活動するから厭《いや》になっちまう」
「御互は第何義ぐらいだろう」
「御互になると、これでも人間が上等だから、第二義、第三義以下には出ないね」
「これでかい」
「云う事はたわいがなくっても、そこに面白味がある」
「ありがたいな。第一義となると、どんな活動だね」
「第一義か。第一義は血を見ないと出て来ない」
「それこそ危険だ」
「血でもってふざけた了見《りょうけん》を洗った時に、第一義が躍然とあらわれる。人間はそれほど軽薄なものなんだよ」
「自分の血か、人の血か」
甲野さんは返事をする代りに、売店に陳《なら》べてある、抹茶茶碗《まっちゃぢゃわん》を見始めた。土を捏《こ》ねて手造りにしたものか、棚三段を尽くして
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