かだ」
「ちょうどおれのようだな。だから、おれは寺へ這入《はい》ると好い気持ちになるんだろう」
「ハハハそうかも知れない」
「して見ると夢窓国師がおれに似ているんで、おれが夢窓国師に似ているんじゃない」
「どうでも、好いさ。――まあ、ちっと休もうか」と甲野さんは蓮池《れんち》に渡した石橋《せっきょう》の欄干《らんかん》に尻をかける。欄干の腰には大きな三階松《さんがいまつ》が三寸の厚さを透《す》かして水に臨んでいる。石には苔《こけ》の斑《ふ》が薄青く吹き出して、灰を交えた紫《むらさき》の質に深く食い込む下に、枯蓮《かれはす》の黄《き》な軸《じく》がすいすいと、去年の霜《しも》を弥生《やよい》の中に突き出している。
宗近君は燐寸《マッチ》を出して、煙草《たばこ》を出して、しゅっと云わせた燃え残りを池の水に棄てる。
「夢窓国師はそんな悪戯《いたずら》はしなかった」と甲野さんは、※[#「月+咢」、第3水準1−90−51]《あご》の先に、両手で杖《つえ》の頭《かしら》を丁寧に抑えている。
「それだけ、おれより下等なんだ。ちっと宗近国師の真似《まね》をするが好い」
「君は国師より馬賊になる方がよ
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