じざい》に跳梁《ちょうりょう》する。
万人はことごとく生死の大問題より出立する。この問題を解決して死を捨てると云う。生を好むと云う。ここにおいて万人は生に向って進んだ。ただ死を捨てると云うにおいて、万人は一致するが故に、死を捨てるべき必要の条件たる道義を、相互に守るべく黙契した。されども、万人は日に日に生に向って進むが故に、日に日に死に背《そむ》いて遠ざかるが故に、大自在に跳梁して毫《ごう》も生中を脱するの虞《おそれ》なしと自信するが故に、――道義は不必要となる。
道義に重《おもき》を置かざる万人は、道義を犠牲にしてあらゆる喜劇を演じて得意である。ふざける。騒ぐ。欺《あざむ》く。嘲弄《ちょうろう》する。馬鹿にする。踏む。蹴る。――ことごとく万人が喜劇より受くる快楽である。この快楽は生に向って進むに従って分化発展するが故に――この快楽は道義を犠牲にして始めて享受《きょうじゅ》し得るが故に――喜劇の進歩は底止《ていし》するところを知らずして、道義の観念は日を追うて下《くだ》る。
道義の観念が極度に衰えて、生を欲する万人の社会を満足に維持しがたき時、悲劇は突然として起る。ここにおいて万
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